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フィリピン・PSHSとの国際交流6-7日目|北海道大学苫小牧研究林研修(Global Nature Camp)(2月9日、10日)

2026.02.16

 本校では現在実施しているフィリピンサイエンスハイスクール(PSHS)との国際交流プログラムの一環として、2026年2月9日~10日の2日間、北海道大学北方圏フィールド科学センター苫小牧研究林において研修を行いました。本研修は本校独自の国際科学教育プログラム「Global Nature Camp」として位置づけられており、PSHS生徒15名と本校生徒16名が混合6グループを編成し、森林生態学に関する講義およびフィールドワークに取り組みました。本活動は単なる自然体験ではなく、現在進行している森林構造調査、遺伝的多様性解析、環境DNA分析を含む国際共同研究を見据えた基礎知識および技能の強化を目的としています。講義・観測・解析・再統合という探究的学習循環を通して、科学的思考力と国際協働力を育成することをねらいとしています。

■1日目前半:講義
 中村誠宏教授(林長)による「地球温暖化と森林のつながり」の講義では、森林が担う炭素循環機能や温暖化との関係について学び、森林が地球規模の気候システムの一部として機能していることを理解しました。続いて細木拓也特任助教による「森に暮らす野生動物の生態」の講義では、野生動物の行動特性や観察視点を学び、後のフィールド調査に必要な基礎的視点を共有しました。

■1日目後半:フィールドワーク
 講義内容を踏まえ、各グループに技術職員の指導を受けながら毎木調査を実施し、森林構造を把握するための基本的手法を体験しました。また、雪上の足跡から動物の移動経路を推定し、適切な観測地点を検討したうえで赤外線カメラを設置しました。仮説を立てて観測計画を構築する過程を経験することで、科学的調査の基盤となる思考プロセスを共有しました。

■2日目前半:講義・フィールド活動
 前日に設置したカメラ映像を確認し、エゾシカ個体数を時間帯別に計測して定量化し、その結果を基に移動モデルに関する仮説の妥当性を検証しました。この活動は観測データを解析し科学的考察へ結びつける経験となり、共同研究におけるデータ解釈能力の育成に直結する学習となりました。続いて林業の意義に関する説明を受けた後、樹齢約40年の人工林において間伐作業を体験し、伐採材の市場価値推定を通して森林資源利用の社会的・経済的側面への理解を深めました。

■2日目後半:講義
 間伐体験を踏まえ、地球温暖化と森林および林業の関係について総合的に整理しました。二酸化炭素吸収源としての樹木の役割に加え、木材利用による炭素固定を「第二の森林」として捉える概念やネイチャーポジティブの視点について理解を深め、森林研究が持続可能性課題とどのように接続するかを学びました。これらの理解は、日本の夏緑樹林とフィリピンの山地雲霧林を比較する共同研究において、森林の構造・多様性・持続性を評価する基盤知識となるものです。

■宿泊・交流活動
 宿泊は苫小牧TOMAROを利用し、夕食では生徒が協働して鍋料理を調理しました。その後の文化交流ではフィリピン生徒による伝統舞踊や弾き語りが披露され、相互理解を深める時間となりました。フェアウェルセレモニーを通して共同活動を振り返り、国際協働の経験を共有しました。研修終了後はフィリピン側生徒および引率教員を新千歳空港まで送り、見送りと帰校に分かれて解散しました。

~本研修の教育的意義~
 本研修は講義・観測・データ解析・社会応用理解を統合した探究型学習として構成されており、生徒が科学的方法を体験的に理解する機会となりました。また国際混成グループによる活動を通して、言語や文化の違いを越えた協働的探究姿勢が自然に形成されました。本活動で得られた知識や技能は各校に持ち帰られ、森林比較研究の再検討および共同研究の統合へと接続されていきます。研究基盤形成を担う教育活動として、本研修は科学的能力育成および国際協働推進の両面において重要な役割を果たす機会となりました。