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フィリピン・PSHSとの国際交流1日目

2026.02.05

 本校では現在、フィリピンサイエンスハイスクール(PSHS)から姉妹校であるコルディレラ行政区キャンパス(CARC)を含む4つのキャンパスの生徒計15名を迎え、国際交流プログラムを実施しています。本プログラムは2026年2月4日~2月10日までの日程で行われ、授業参加や共同研究、研究機関での研修、研究交流(ポスターセッション)を通して、言語・文化・科学を横断した学びを深めることを目的としています。2月4日は、交流初日としてプログラム全体の目的や流れを共有するとともに、今後の国際協働・共同研究につながる学びの基盤を築く1日となりました。

1時間目:オリエンテーション― 訪問・交流プログラム全体像の説明(アウトライン)   

    ―(担当:宮古先生)
 最初の時間では、今回の訪問・交流プログラムの全体像について説明を行いました。授業参加やSSH活動、生物実験などを通して、どのような力を身につけていくのか、また今回の交流が単なる体験にとどまらず、将来的な国際協働へとつながっていくことを確認しました。来日直後ということもあり、参加生徒たちにはやや緊張した様子も見られましたが、自己紹介を通して次第に打ち解け、これから始まるプログラムに前向きに取り組もうとする姿勢が感じられました。

2時間目:英語(2年6組/担当:デロサントス先生)
 英語の授業では、「英語を学ぶ」だけでなく、「英語を使って協働する」ことを重視した活動が行われました。フィリピンの生徒と日本の生徒が混ざったグループで意見交換を行い、英語を共通言語として互いの考えや感じ方を伝え合いました。言葉に詰まりながらも相手に伝えようとする姿や、相手の意図を理解しようとする姿が随所に見られ、国籍や文化の違いを越えた学び合いが始まったことを実感できる時間となりました。

3時間目:生物― DNA解析チャレンジ(第1回:PCR)―(担当:科学部生徒,村山先生)
 生物の授業では、BioRad社のCrime Scene Investigator kitを用いたDNA解析の実習を行いました。この実習は、今後予定しているCARCとの共同研究のネクストステップを見据えた研修として位置づけられており、個体識別や遺伝的多様性解析に共通して用いられる汎用的な分子生物学的手法を学ぶことを目的としています。今回はその第1回として、DNA解析の流れ全体を確認したうえで、
・PCR(Polymerase Chain Reaction)の原理
・なぜDNAを増幅する必要があるのか
・実験操作上の注意点
について説明を行い、PCR反応の準備と装置の起動までを実施しました。実験の進行や確認、用語の説明は科学部の生徒が主体となって行い、科学分野において「共通の方法・共通の考え方」が国や言語を越えて共有できることを体感する機会となりました。   

 なお、このDNA解析実習は1回で完結するものではなく、次の土曜日に第2回として、電気泳動によるDNA断片の分離と結果の解析を行う予定です。この一連の実習は、将来的に予定している樹木や動物を対象とした遺伝的多様性解析といった共同研究へと発展していくための、重要な基礎研修となっています。

4時間目:英語(1年9組IBコース/担当:シンクル先生)
 英語の授業では、異文化理解をテーマにした活動が行われました。文化の違いや共通点について意見を交わしながら、生徒同士が互いの背景や価値観への理解を深めていきました。言葉だけでなく、表情やジェスチャーも交えた自然なやり取りが多く見られ、言語を通じた相互理解がさらに深まる時間となりました。

5~7時間目:SSH サイエンスチャレンジ(1年7・8組SS未来創造選択生徒/担当:宮古先生)
 午後はSS未来創造Ⅰの取り組みとして、サイエンスチャレンジに参加しました。本活動では、「種子散布」をテーマに、生物多様性への理解を深めるとともに、生物の形や仕組みを人間の設計に生かすバイオミメティクスの視点を意識した探究活動を行いました。具体的には、風で運ばれる植物の種子の構造に着目し、ティッシュペーパーと「おもり」としてのお米3粒を用いて、2mの高さから落とした際に最も滞空時間が長くなるモデルをチームで設計・作成しました。これまでの最高記録である4.62秒を超えることを目標に、各グループが仮説を立て、形状やバランスを工夫しながら試行錯誤を重ねました。
 活動の中では、単に記録の優劣を競うだけでなく、「なぜその形が有利なのか」「自然界ではどのような多様な戦略が存在するのか」といった視点から議論が行われ、生物多様性がもつ意味や価値について考える機会となりました。また、本活動では完成した成果物だけでなく、そこに至るまでの発想や試行錯誤の過程を共有することを特に重視しました。将来、研究者として国際的な共同研究に取り組む際には、個々の成果を持ち寄るだけでなく、創造に至るプロセスそのものを共有し、互いに改善し合うことが不可欠です。今回のサイエンスチャレンジは、その基礎となる協働的な探究姿勢を育む場ともなりました。言語や文化の異なる生徒同士が、共通の課題に対して科学的な視点を用いながら協力する姿は、SSHが目指す「多言語活用」「国際協働」「科学的探究力」「協働的学び」を体現する象徴的な場面となりました。

~今後に向けて~
 今回の交流は、英語力の向上にとどまらず、異文化の中で学ぶ姿勢や、科学を共通言語として協働する力を育てる貴重な機会となっています。特に、生物実験を通したDNA解析研修は、今後のCARCとの共同研究構想に直結する重要な第一歩となりました。残りの滞在期間においても、授業やSSH活動、実験を通して、さらなる学びと交流が深まることが期待されます。