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第11回 授業の基本形について考える (中学1年数学)

Profile

神保 彩歌(じんぼ あやか) 先生


ボールが上がるんですよ。

Students

RIさん

HTさん

(取材日:2025年10月7日)



INDEX


■授業の様子


今回の授業は中学1年生の数学です。二つの未知数を連立方程式から求める方法の習得を目指しています。時節柄、生徒の画像の掲載ができませんが、先生や生徒の発言をできるだけ忠実に表現しながら授業の様子を書いていきますので、想像しながらお読みください。

(授業開始のチャイムが鳴る)
先生:気をつけ。――これから始めます。お願いします。実は今日は取材の方がいらっしゃっています。

取材者:あ、はい。札幌日大の授業を取材して記事にする仕事をしています。今日は取材で訪れました。授業の音声を記録させてください。みなさん、ぜひ積極的に発言お願いしますね。よろしくお願いします。

先生:では、始めます。いつも通りまずは小テストを行います。

(小テストが配られる)


(生徒は5分間連立方程式・3問の小テストに取り組む)

先生:今日は小テストが3問だけだったので、答えを確認します。時間足りなかった人は、このあと直しておいてね。答えは口で言うだけにします。(1)x=−1, y=3(2)x=2, y=−2(3)x=7, y=4 ですね。

このあと、解き方の確認をしていきます。前後左右の人とやり方を確認してOKです。前回欠席した人にはプリントを配ります。

(小テストの計算方法の確認が行われる)

先生:今回の問題は「係数をそろえて消去」するタイプでしたね。
(1)は上の式を3倍、下の式を2倍にした?――OK。
(2)は上を3倍して・・・xを消した?――なるほど。
(3)は上の式を5倍かな。最小公倍数でそろえてるね。今の話を聞いて「なるほど」と思った人は、解き直しに活かしてくださいね。

先生:はい。終わった人はファイルに入れて、ハンコ押すよ。
(生徒は小テストをファイルに綴じ、先生はハンコを押して回る)


先生:さて、今日の授業では少しタイプの違う式に挑戦します。
「A=B=C の形の方程式」をどうやって解くかです!

(テキストのページが案内される)

先生:問題番号は、46ページ。問題193番(1)をやってみるよ。
例として、こんなタイプです:3x+5y=2x+7y=15

これは A=B=C の並び方をしていると見なせます。意味は「三つとも等しい」。
では、このときどう連立に落とすか?少し考えてみて。計算までやってみていいよ。答えが出たら最後どうするかまでね。

(しばらく生徒は各自で考える、先生は取り組み状況を見てヒントを与える)

先生:これは実は予習していなくても、いままでの連立の考え方で解けます。
ポイントは、等しいもの同士を2つ選んで「ふつうの等式」を2本作ること。

作り方の例を書きます。
3𝑥+5𝑦=15
2x+7y=15

この2本を連立して解けばOK。
もちろん、
3x+5y=15
3x+5y=2x+7y
のように作ることも不可能ではないけど、計算が煩雑になりがちに見えるよね。右辺の数が15でそろっているほうが計算が楽に見えるね。

先生:同じ問題でも、加減法で行くか、代入法で行くかで手順が変わります。
今日の例だと、右辺が15でそろっている2本を並べると加減法がやりやすく見えますね。
でも、うまく代入法を使うと短く終わる場合もあります。実際にどっちが楽か確かめてみようか。

先生:加減法の解法をA君、黒板に書いてもらえる?先生は代入法を書くよ。どっちが早いか競争ね!

(黒板を使って加減法/代入法の2通りの解法を記述する)

先生:どう?どっちの方がきれいで早い?

(生徒たちは黒板を見て代入法の方が計算量が少ないことを確認する)

先生:問題に応じて使い分けるのがコツなんだよね。

先生:もう1問練習いくよ。このタイプに慣れてほしいので、193番(4)をやってみて。
終わった人は194番へ進んでOK。

(先生が時間を確認する)

先生:…あ、今日は10分までか。時間が足りないね。(4)の答え合わせは次回に回します。家で練習しておいてください。

(宿題が提示される)

先生:今日はここで終わるので、宿題はテキスト p.195 の(黒字の)問題にします。

(今日のまとめが伝えられる)

先生:今日の要点はこれ。
A=B=C 形の式は、等しいもの同士を2組選んで「等式を2本」作る。
A=B
A=C(またはA=B,B=C など)

2本の式を作り連立方程式として解く。

計算は加減法又は代入法でできるだけ単純な計算になる組合せを考えること(右辺が数でそろっている等)。
どの組み合わせでも解けるけれど、自分にとって計算しやすい形にしてから解くこと。

――今日はここまで。おつかれさまでした!


■指導案

今回の授業の指導案を掲載します。狙いや評価の観点が丁寧に準備されていることが分かります。



■生徒インタビュー

RIさん

HTさん

■神保先生の想い


■まとめ