施設等見学・研修

東京工業大学理学院 山崎詩郎 先生研究室訪問

 2019年10月16日(水) 12:30~14:45、東京工業大学理学院 助教 山崎詩郎 先生の研究室を訪問しました。毎年、SSH課題研究「物理分野」のテーマで3年間取り組んできた生徒が、山崎先生の研究室を訪問し、先生の前で研究成果を報告してきました。今年度は、3年9組 宮本悠史 君が代表して、「ネオジム磁石による地磁気水平分力の無電源測定」というテーマで、入学してから取り組んできた研究成果をまとめ、口頭発表を行いました。  スライド1枚ごとに納得のいくまで議論を重ねた結果、研究内容に関する理解を一段と深めることができ、また数多くの課題を新たに発見することができました。これらの研究成果と課題は、来年度から後輩へと引き継がれていくことになります。
 先輩から引き継がれてきた物理分野の課題研究をさらに発展させ、後輩へとしっかり引き継ぐことができるように、3年生の残りの期間、最後まで努力を積み重ねていきます。

北海道大学 渡辺 直子 先生研修会「放射線の基礎と実習」

 2019年10月17日(木) 15:45~17:15、北海道大学大学院工学研究院 エネルギー環境システム部門 エネルギー生産・環境システム分野 准教授 渡辺 直子 先生と日本原子力文化財団の永田夏樹さんが来校され、SSHの生徒を対象とした研修会(講義・実習)が実施されました。
 目的は、講義・実習を通して原子力エネルギーや放射線に関する基礎知識を学ぶためです。放射線に関する課題研究に取り組んでいる生徒も含め、原子力エネルギーや放射線に興味・関心を持っている生徒13名が参加しました。前半45分の講義では、「放射線とは」から始まり、「放射線の利用」まで幅広い内容について丁寧な説明があり、先生との間で活発な質疑応答を行いました。後半の放射線遮蔽実験では、様々な線源や遮蔽板を用いて放射線量を実際に測定しました。教科書だけでは知り得ない数多くのことを講義・実習を通して体験し、学習することができました。
 今回、渡辺先生による研修会に参加し、放射線に対する理解をさらに深めることができ、放射性廃棄物に関する関心および課題研究に取り組む意欲をさらに高めることができました。札幌日大高校 SSHは、引き続きこのような遠大で難しい地球規模テーマに挑戦していきます。

「第54回応用物理学会北海道支部 第15回日本光学会北海道支部 合同学術講演会 ジュニアセッション」で発表

 2019年1月5日(土)、函館市勤労者総合福祉センター「サン・リフレ函館」(北海道函館市大森町2-14)において、「第54回応用物理学会北海道支部 第15回日本光学会北海道支部 合同学術講演会 ジュニアセッション」が開催されました。ジュニアセッションの開催は、今年で5回目になります。これは自然科学をテーマに日常的に研究活動を行っている高校生が研究発表を行うセッションであり、3件の発表がありました。本校の参加は4回目になり、今回は2年生2名(SSH選択者・科学部)が参加し、「ネオジム磁石球を用いた地磁気の測定」について口頭発表および質疑応答を行いました。また、発表者全員に応用物理学会北海道支部から表彰状を手渡されました。
 私たちは、物理系分野の課題研究を通じて物理学への理解を深め、さらに研究内容を深化・発展させるため、これからも努力を積み重ねていきます。

「SSHフィンランド海外研修」で地磁気水平分力及び太陽光RGB値の測定を行いました

2019年7月8日(月)に札幌を出発し、フィンランドに3日間ほど滞在し、課題研究で必要な測定などを行い、13日(土)に帰国しました。
 ヴァンター国際空港付近(北緯60度、東経25度)で、地磁気水平分力および太陽光RGB値の測定を行いました。私たちの測定法により求めた水平分力の値は、理科年表に掲載されている値とほぼ一致し、私たちが構築した理論式がフィンランドにおいても成り立つことがわかりました。今回のデータは、今後、様々な研究発表会で詳しく紹介していきます。また、iPadおよびNDフィルターを用いて、フィンランドで太陽光の撮影を行いました。今後、フィンランドだけでなく、海外で太陽光の撮影を進め、データ解析を行い、大気分析などへの応用を考えていきます。
 フィンランド滞在中、Ilmatieteen Laitos(フィンランド気象庁)を訪問する機会を得ることができました。フィンランド研究職員と私たちがお互いに地磁気および気象関係の研究内容についてプレゼン・質疑応答を行い、意見交換をしました。また、研究室も見学させて頂きました。私たちの英語力も少しずつ向上しており、今回の地磁気および気象関係の研究テーマに関連した研究内容についてさらに理解を深めることができました。課題研究を通じた私たちの訪問は大変歓迎され、来年度以降も気象関係のテーマで意見交換させて頂けることになりました。
 また、日本とフィンランドの学校間交流に詳しいJuho-Pekka Mäkipää(Finland Japan Center for Education)さんとお会いし、十分な時間をかけてお話することができました。その結果、本校とフィンランドの高校との交流が実現することになりました。課題研究を通じた交流はフィンランドの高校にとっても初めてのケースであり、来年度8月末以降、本校生徒が現地高校を訪問することで合意しました。現在、後輩たちが取り組み始めた地球規模の課題研究のテーマで、英語ポスター発表を通じて交流できればと考えています。交流先の高校は、ヘルシンキから鉄道と車で約5時間のところにあります。友好的な関係を築き、数年後には、後輩たちが同じテーマで日本-フィンランド共同研究発表を実現して欲しいと願っています。
 今回の訪問は、幾つかの測定や現地の研究者達と直接意見交換を行うといった、中身の濃い内容ばかりでしたが、非常に貴重な経験をすることができました。また、後輩たちがフィンランドの二つの機関と交流ができる道を開拓したことで、先輩として後輩のために貢献できたように思います。私たちは、地球規模課題の研究テーマが軌道に乗り、海外の高校生たちと友好的な関係を築き、科学分野でお互いに協力していけるように、卒業後もこのような科学活動に関わっていきたいと思っています。

日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)に採択

日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)に採択されました。
このプランは、参加者が科学技術の分野で交流を深めることにより、以下を目的としています。

・日本とアジアなどの国・地域との友好関係を強化する。
・日本の教育・研究機関のグローバル化を促進する。
・科学技術イノベーションに貢献しうる海外からの優秀な人材の育成と継続的な交流に寄与する。

 本校では、姉妹校である韓国の仁川科学芸術英才高等学校(IASA)から生徒を招き、「北海道から発信する循環型社会の創造」をテーマとし、来年1月に交流します。
 交流内容としては、北海道内にある様々な企業や大学を訪問し、多面的な視野から興味関心を高め、共同研究や研究発表を行い、より充実した成果をあげることを目標としています。

「SSHシンガポール海外研修」に参加

 2019年7月26日(金)~27日(土) Nanyang Technological University (NTU) で行われたGlobal Link Singapore 2019 に参加しました。Poster Session (Science) には、45件の発表があり、シンガポール、香港、タイ、ベトナム、中国からも高校生が参加しました。本校からSS選択者3年生2名が参加し、発表および質疑応答を行いました。海外から参加した生徒達と課題研究だけでなく、ネットワーキングゲーム、文化交流会や夕食等を通じて交流を深めました。
 7月28日(日)は、GLS2019の会場であるNanyang Technological University (NTU) や アジアを代表する大学 National University of Singapore (NUS) を訪問し、学生によるキャンパスツアーに参加しました。また、シンガポール15番目の貯水池である Marina Barrage などの施設を訪れ、シンガポールの環境への取り組みなど、様々な知見を広めることができました。
 7月29日(月)は、Mitsui Chemicals R & D Centre Pte. Ltd. (MS-R&D) を訪問し、企業研究者からのプレゼンテーションおよび私たちの課題研究のプレゼンテーション、ラボツアーなどを通じて、交流を深めました。また、工場見学では、世界の動向なども含め、教科書等では知ることができない数多くの貴重なお話を伺うことができました。
 私達の研究内容が海外の人達に少しでも多く理解してもらえ、また、シンガポールなど海外の人達との交流がさらに深まっていくよう、これからも粘り強く努力を積み重ねていきます。

第18回アジア太平洋化学工学連合会議(APCChE2019)Student Programでポスター発表

2019年9月23日(月・祝)、札幌コンベンションセンターにおいて開催されたStudent Program in APCChE 2019に参加し、国内外から参加した大学生の方々に混じってショートスピーチおよびポスター発表を行いました。  APCChE 2019は、SDGsへの貢献をテーマとして開催され、実学である化学工学のSDGsに対する新たな試みを支援すべく、Student Programが企画されました。中国、韓国、フィリピン、インドネシア、マレーシアからも大学生が参加し、35件のポスター発表が行われました。本校からSSH・科学部を代表して2年生1名、1年生2名が参加し、”The power of sawdust to support the future of the earth”について専門の先生方など参加者の前で発表し、質疑応答を行いました。
 この研究は、私たちと正和電工株式会社との共同研究になります。水を使わずにし尿処理が可能なバイオトイレで使われているオガクズに注目し、オガクズのアンモニア揮散防止効果について研究をしています。オガクズの有効活用による資源循環型社会を目指し、SDGsに貢献できるように課題解決に向けて取り組んでいるところです。
 今回、化学工学のSDGsへの貢献をテーマとするStudent Programに参加できたことで、SDGsへの関心をさらに深めることができました。札幌日大高校 SSH・科学部は、これからも様々な分野の課題に積極的に挑戦していきます。

第3回生物資源科学部長杯「生物研究発表会」に参加

 2019年10月26日(土)神奈川県藤沢市にある日本大学生物資源科学部において、第3回生物資源科学部長杯「生物研究発表会」が行われました。今回は日本大学の付属高校のうち、本校を含め10校が参加しました。本校からは科学部生物班の2名が「部活動別の指の菌について」という研究について発表を行いました。

 発表後は大学の先生方から多くの質問などが寄せられて、活発な質疑応答が行われました。発表会終了後は、発表会に参加した付属校生と大学の先生方との懇親会が催され、そこで表彰式が行われました。参加した10校とも素晴らしい研究が多かった中で、本校の発表は見事に第1位を獲得し、研究の着眼点のユニークさなどが高く評価されていました。今回の受賞は生物班の研究に大きな励みとなりました。

【SSHフィールドワークを実施】

 2020年10月24日(土)、高校1,2年生のSSH選択者16名が本校周辺地域のフィールドワークに出かけました。このフィールドワークの狙いは以下の3点です。

①北海道の化石、特に北広島市周辺で発見された化石について理解すること。
②本校の土台となっている野幌丘陵の成り立ちと支笏火山の活動史を学習すること。
③自然の歴史的な見方を取得し、自然とのかかわり方を学ぶこと。

 参加した生徒たちは、学校出発前に校舎玄関前から見える樽前山と恵庭岳の位置関係を確認しました。またこの2つの山の間に支笏湖があることも頭に入れながら、最初の目的地である北海道博物館に向かいました。ここでは北広島市で発見されたケナガマンモスやナウマンゾウをはじめとする大型哺乳類の復元模型が展示されています。展示室を一通り見学した後、生徒たちは学芸員の方から「北海道の化石」についての講義を受けました。この中で寒冷地に生息するケナガマンモスと比較的温暖な地域に生息するナウマンゾウがほぼ同時期に生活していた可能性について学びました。

 北海道博物館での講義の後、生徒たちはバスに乗り国道274号線を北広島西の里砂採取場へと向かいました。274号線を移動中「椴山」と呼ばれるところが丘陵地のピークであるとの説明を受けました。椴山を通過後しばらくして西の里砂採取場の露頭でクロスラミナと呼ばれる地層を見学しました。この場所は昨年度、何名かの生徒が貝化石を発掘した場所でしたので、生徒たちは化石を発見しようと張り切って斜面を削りましたが、今年は残念なことに化石を発掘することはできませんでした。

 西の里砂採取場での発掘を終えた後、生徒たちは島松軟石採掘跡に向かいました。ここは旧島松駅逓所近郊にあり、現在は高速道路の真下に位置しています。島松軟石は4万年前の支笏火砕流堆積物によるものです。生徒たちは近くに落ちている島松軟石の破片を観察し、その特徴を理解することができました。
 千歳市で昼食休憩を挟んだ後は、美々貝塚に行き縄文人の生活跡を見学しました。展示施設の中には約80㎝程の貝殻が詰まった地層が保存されていました。貝殻層の上下には樽前山の火山により堆積した火山灰層が堆積しているのが分かりました。美々貝塚の見学により、生徒たちは数千年前にはこの千歳市近郊まで海岸線があったという事を知りました。

 フィールドワークの最後に向かったのは千歳市と苫小牧市の境界に位置する場所でした。ここの露頭では恵庭火山噴出物や支笏火砕流堆積物がはっきりと層状に堆積しているのを見ることができました。ここでは支笏軽石堆積物層のところに化石林が発掘できます。これはもともと森林があった場所に火山灰や軽石が急速に堆積し、その熱で森林が炭化したものと考えられています。生徒たちは説明を受けた後、斜面を登って化石林の発掘に挑戦しました。一生懸命にやったかいがあり、多くの生徒が化石林を発見しました。発掘したものの中には長さが90㎝、直径が10㎝程のものもありました。

 わずか一日で学校周辺地域の地質に関する知識を学ぶことができ、今年度のフィールドワークを終えることができました。参加した人は今回のフィールドワークの経験を今後に生かしてほしいと思います。

名古屋大学宇宙地球環境研究所「陸別観測所」を訪問

2019年11月9日(土)、地球規模の課題に取り組んでいる私たち科学部1年3名が、りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)にある名古屋大学宇宙地球環境研究所「陸別観測所」を訪れ、陸別研究所の水野亮 所長および観測機器の保守・管理に携わっておられる横関信之 氏から研究活動や観測機器に関する詳しい説明を受けました。

 以前からオーロラをはじめ超高層大気で起こっている現象に興味を持ち、これまで調査・勉強を積み重ねてきました。今回、ついにかねてからの念願がかない、陸別観測所を訪問する機会を得ることができ、見学させていただきました。高分解能フーリエ変換赤外分光装置、レーザーレーダーを用いたエアロゾル観測装置、およびミリ波等の線スペクトル観測装置等により微量成分の変化を通して地球全体の大気環境変動を理解する重要な研究を、この北海道陸別で世界中の研究者達と協力し、進めていることにとても感動しました。水野 所長、横関さん、大変お忙しいにも関わらず、丁寧にご説明頂き、ありがとうございました。

 私たちは超高層大気で起こる現象の勉強にまだ取り組み始めたばかりですが、陸別研究所の進めている研究内容が少しでも理解できるように引き続き努力を積み重ねていきます。