11月3日(金)
この日朝、生徒たちはバディーの家族に送られて、学校に登校してきました。短い時間の中バディとの別れを惜しみつつ、生徒たちはこの日の目的であるニュージーランドの牧場と大規模農園へと向かいました。
この日最初の訪問地である牧場は、東京ドーム40個分ほどの面積の中で乳牛を飼育する牧場でした。ここでは搾乳にかかわるデータ集計などが、スマートフォンのアプリで一括管理されていたことを説明され、生徒たちの中から驚きの声が洩れました。ニュージーランドでは、牛乳の含有成分、特にタンパク質含有量などにより買い取り額が変わってくるため、酪農家たちは乳牛に食べさせる牧草にも工夫があること、また人工授精などにより、雌牛を計画的に妊娠させることで、牛乳の収量管理を行っていることなどを知り、科学的な根拠に基づいて乳牛が飼育されていることを知ることができました。
牧場のあとは、主に葉物野菜を扱う大規模農場を訪問しました。ここでは野菜の植え付けを大型機械によって効率的に行うとともに、場合によってはGPS搭載の無人トラクターを利用する場合もあるという説明を受けました。SSH選択生徒の中には夏休みのサイエンスツアーで訪問した帯広畜産大学で無人トラクターについて学んでいましたので、実際の農業現場で実用化されていることに感動を覚えていました。さらには出荷時期を調整するために、野菜の植え付け時期をずらすなど植物生理をうまく利用した方法に感心していました。
牧場と農場の訪問を通じて、生徒たちは生物学や化学の知識が現場で生かされていることに気が付いたようです。
これらの施設を訪問後、再びクライストチャーチ市内に戻り、日本人建築家「坂 茂(バン シゲル)氏」が設計、建築に携わった「紙の大聖堂」を見学しました。この教会は紙でできた筒を用いて作られたもので、その丈夫な構造に生徒たちは驚きを隠せませんでした。
11月4日(土)
この日は、クライストチャーチ市から遠く離れたカイコウラ半島でホエールウォッチングを行いました。生徒たちはバスでニュージーランド南島にある国道1号線を北上し、地震のつめ跡を見ながら日本と異なる災害復旧状況を目の当たりにしました。カイコウラ到着後は、大きなボートに乗船して沖合に向かい、クジラの姿を探しました。最初はなかなか見えていなかったクジラも最後の方では船に並走する1頭が発見されました。
生徒たちはそのあまりの大きさに感動を覚えていました。クジラの観察後は下船したのち、アザラシのコロニーを観察するために海岸線沿いの生態調査も実施しました。海岸線の岩場にいる生徒は、日本と類似した貝類が生息していることがわかり、ニュージランドの森林の樹種とともに、北海道と類似している点が多々あることがわかりました。残念ながらアザラシの個体数は少なく、多くの個体を観察することはできませんでしたがわずか数メートル先にいる野生のアザラシを観察することができ、生徒たちも興奮していました。
11月5日(日)
最終日の朝、生徒は5:00にホテルをチェックアウトしてクライストチャーチ空港に向かいました。パスポート、出国カード、eチケットの確認をしっかりとして、まずはオークランド空港へ飛びました。その後15分程度の余裕しかない中で成田行きの飛行機に搭乗し一路成田に。成田到着後は、入国検査を受けて駆け足で新千歳空港行きの飛行機へと乗り換えました。飛行機がやや遅れたものの20:00過ぎに新千歳空港に到着した生徒たちは、ニュージーランドとの気温差に戸惑いながらも今回の研修を懐かしく振り返っていました。
今回参加した生徒たちは、この後学校で今回の研修についての反省を行い、翌年3月には海外科学研修の報告会を行います。