平成28年5月24日(火)13:45~15:00、札幌日本大学高等学校高校校舎体育館にて、札幌医科大学 医学部附属フロンティア医学研究所 神経再生医療学部門 医学博士 佐々木祐典先生をお招きして、全校生徒を対象とする平成28年度SSH科学講演会「北海道発の再生医療 -脳梗塞と骨髄損傷の後遺症改善を目指して-」を開催しました。当日は晴天にも恵まれ、保護者の方々も含め約1000人の参加がありました。
講演会の要旨は次のとおりです。「近年の生命科学の進歩によって、体のなかに存在する幹細胞(かんさいぼう)が発見されました。この幹細胞を体の外に取り出し、培養し、それをまた静脈から点滴で患者さんの体内に戻すことによって、多くの難病を治療しようという試みが始まっています。札幌医科大学では1990年代より、幹細胞のなかでも骨髄に存在する幹細胞(骨髄幹細胞)に着目して、脳梗塞や脊髄損傷などの体に障害が残りやすい疾患に対する治療法を開発するために、動物実験や臨床研究を行ってきました。現在は、これまでの基礎・臨床研究の良好な結果を受けて、患者さん本人から採集・培養した骨髄幹細胞を“お薬”として製品化して、多くの患者さんに使ってもらえるように、厚生労働省と話し合いをしながら、医師主導治験という形式の臨床試験を、脳梗塞と脊髄損傷の患者さんに対して行っています。今回の講演では、札幌医科大学で行っている脳梗塞や脊髄損傷に対する骨髄幹細胞を用いた再生医療の実際についてわかりやすく紹介し、疾病制圧の実現に向けた再生医療の今後の展望についても触れたいと思います。」
講演は再生医療に関するとても興味深い内容であり、生徒達は強い関心をもって聞くことができました。 講演後の質疑応答においては、生徒からのすべての質問に、佐々木先生は一つ一つ丁寧にわかりやすく答えてくださいました。再生医療について普段は聞くことのできない興味深いお話ばかりであり、大変中身の濃い講演会となりました。佐々木先生、お忙しい中、講演をしていただき誠にありがとうございました。