平成28年6月21日(火) / 平成28年6月28日(火) / 平成28年7月19日(火)
平成28年8月23日(火) / 平成28年9月06日(火) / 平成28年9月20日(火)
研究テーマ
TPCプログラムとは
T:Teamwork(チームワーク)
P:Problem-solving skill (問題解決能力)
C:Communication skill(コミュニケーション能力)
現代の生徒たちが社会に出て必要となる3つの能力の開発プログラム
【研究課題テーマ】
「2030年を予測して北海道ならではの新しい商品、サービスビジネスの提案」
1.TPCプログラム①
実施内容
TPCプログラムは株式会社JTBと株式会社サイボウズが連携して運営する課題解決型授業のプログラムです。TPCプログラムの狙いは、“現代の生徒たちが社会に出て確実に必要となる能力である3つの要素である、「Teamwork(チームワーク)」「Problem-solving skill(問題解決力)」「Communication skill(コミュニケーション)」を、TPCプログラムを通して身に付ける”にあります。
今後TPCプログラムを進めていくに当たり、下記のテーマを与え、企画書を作成、中間チェックを経て、最終発表会を行う予定です。
【テーマ】
『2030年を予測して、北海道ならではの新しい商品、サービス、ビジネスを提案せよ』
「観光」「食」「教育」「地域活性」「医療」「介護」等の小テーマを設定し、各チームで企画、発表までをミッションとします。学年でSGHの活動において、積極性・参加姿勢の評価に基づき、6~7人のチーム分けを行いました。
第1回目のTPCプログラムの内容は下記通りです。
株式会社サイボウズ田村様より、本日の流れについての説明
- 「グループ」と「チーム」の違いについて
- 「チームワークを発揮するために必要なこと」
- 問題を「現実」と「理想」、「事実」と「解釈」に分解して考える。
- グループワーク「チームの○○さんのテストの点数を良くするにはどうしたら良いかを具体的に考える」
- ワークシートを使い、「事実」と「解釈」に分けることで問題を整理する。
- チームのメンバーが様々な意見を出し合いテストの結果を出すための方法を考える。
- 発表(3チーム)
- 各チームで見出した解決策を発表し合う。
2.TPCプログラム②
第2回目のTCPプログラムは、巻沙織氏と黒井理恵氏の講演を行いました。
巻沙織氏(WIND‘OL代表)による講演
巻氏が出版社で働いた経験からビジネスの基本について講演いただきました。
ニセコに来る人たちの中で「お金」だけを考えて来る人がいますが、「仕事」として考え「損して得とれ」がビジネスにおいて大切だと思っていること。自分の思いを仕事に乗せ、お金につなげていくことを目指していることなどをお話いただきました。
また、設立した会社WIND‘OLについての紹介とニセコの変貌などを取り入れた話から、今後の北海道、ニセコにおけるビジネスの展望を説明いただきました。
ニセコを訪れる外国人向けのビジネスを立ち上げた経験から、「外国人相手に完璧な英語を使わない方がよい」ことや「質のいいサービスを提供すれば外国の富裕層のニーズが得られ、次の仕事につながる」こと等、実体験に即した話が聞けました。大テーマ「2030年を予測して北海道ならではの新しい商品、サービスビジネスを提案する」に絡む、北海道、ニセコの課題点についても、有益な情報を頂きました。具体的には「2026年、もし、冬季オリンピックが決まったとしたら」という切り口でニセコの展望などをお話になりました。
2.黒井理恵氏(naniroカフェ主催者)による講演
黒井氏はまちづくり、ワークショップ、地域活化など社会系プロジェクトスタートアップ支援の活動を行っています。地域の子育て中の母親の会や、「パン祭り」など、地域で何かを立ち上げようとする人たちの手助けをしています。
黒井氏の仕事内容を言葉で表現すると、「人や組織、チームが自分たちで考えて動きやすくする仕事」、または「人と人とがざっくばらんに話をしながら仕事をする場を作る。」
生徒にとっては、「薬剤師」「看護師」など具体的な職業以外の仕事が存在すること、これからの時代、「今までは無かった仕事」がどんどん出てくるであろうことが新鮮だった様子です。
『社会や誰かのために何かしたい』という人や、自分のやりたいことにチャレンジできる人を増やしたいという思いから「naniroカフェ」を立ち上げ、「人と人とのつながりが寿命につながる」「幸福とは何か」についてもお話いただきました。
また、生徒たちに今後に向けての下記のようなアドバイスもいただきました。
- 何か物事を起こす折に批判してくる人は必ずいる。しかし、ビジョンをしっかり持って、ひるまないこと。
- 一人でやらない、色々な人を巻き込むこと。
- もっともらしい答えに飛びつかず、自分の頭で考えたことを信じて突き進むべし。
- 失敗は当たり前と思ってやる。
3.振り返り
質疑応答では
Q.何かイベントを起こすときに賛同者がいない時、人が集まらない時はどうするか。
A.皆で始める。よく話し合って意見を出し合ってスタートするので、賛同者がいないということはあまりない。人が集まらない時は、中止することも。反省点をしっかり挙げる。
など、生徒の質疑応答も活発であり、また、講演者の方に、互いの話から感じたことも述べていただくなど、新しい振り返りの形、結びとなりました。生徒にとって「社会のニーズ」を意識する良い機会となりました。
3.TPCプログラム③
第3回TPCプログラムの授業内容は下記の通りです。
1.実施内容
- 前回までの活動の振り返り
- チームリーダー決め
- チーム毎のテーマを何にするかの話し合い。
- 大テーマ「2030年を予測して、北海道ならではの新しい商品、サービス、ビジネスを提案する」をもとに、小テーマとなる企画をいくつか話し合いの中で出し合う。
- 注意点として、リーダーが話し合いを取りまとめ、報告できるような形で進めるよう指示。
- 沖田副校長から助言
- 国と国との交渉事の例から、相手のいる交渉や企画をするにあたっては、言葉や内容だけでなく、ロケーションも含めて考えていくことが重要となること。
- 今後、早稲田大学の一般入試とAO・推薦入試の割合が逆転すること、地域活性入試の導入、山口大で英検の保持級が入試の得点に組み入れられることなどを例に、大學入試に向けて必要とされる能力の評価方法が多様になってきている状況がある。SGHでの学びを活かしてほしい。
4.TPCプログラム④
実施内容
1.3分間ディスカッション
テーマ:「タイヤのない車」を1ケ月で1000台売らないといけない。さて、その車をどうやって売りますか?」
上記の題で、各チーム3分間でディスカッションし、アイデアを出し合いました。一番多いチームで21個アイデアが出てきた。一般的な大学生よりも多く、多様なアイデアが出たと評価いただきました。この取り組みを通して、多様なアイデアを出し合うために、メンバーの意見を「非現実的だから」と言って否定しないことが大切だと認識した様子でした。
2.JTBによるツーリズム産業の仕事についての講和
旅行会社は旅のすべてに関わる仕事であり、旅の手配のみならず、食やレジャー、保険など、多様な仕事があります。どうやって利益を上げているか。旅行業は「薄利多売」と言われるように、それぞれは3~5%の利益にすぎません。部門別売上高を見ると、90%が旅行部門の利益となっています。しかし、今後、生き残りをかけて、「その他の事業部門」(保険、お土産、両替、旅館への予約システムなど)にあたる10%を増やすことをやっていかなければならないとお話いただきました。
3.フレームワーク
テーマ「2030年を予測して、北海道ならではの新しい商品・サービス・ビジネスを提案」について設定した小テーマにおける「理想」と「現実」のギャップを話し合いました。壮大なテーマパーク構想を提案しようとしていたチームは、「問題は北海道の観光客が少ないこと、理想はテーマパークを増やして観光を上向きにしていくこと。そのための課題は、地域活性化である」と考えていたため、提案に説得力を持たせるためには「具体的な数字、データを使って紹介するとよい。」などのアドバイスを与えながら進めていきました。
1.TPCプログラム⑤・⑥
実施内容
各チームに、発表会のスライドとデータをあらかじめ準備させ、最終発表会に向けてJTBの小林さん、サイボウズの田村さん、椋田さんに個別にアドバイスを受けた上で、企画を練りました。どのチームも準備は行っていましたが、完成度にはばらつきがあり、具体的な企画まで詰めてきたチームもあれば、おおまかな概要で留まっているチームもありました。ただ、各チームのリーダーを中心に、考えてきたところまでの企画を紹介し、アドバイスを受ける過程で、テーマを深めたり、実際の数値を使用することの重要性に気づいたりなど、それぞれの学びが見受けられました。